科学的な宗教

こたつみかん教の月例礼会にようこそお越しくださいました。今日も我がこたつみかん教の御利益について科学的にお話しようと思います。

我々の地道な科学的布教活動により、洗礼を受け入信してして下さった信者の数は300万人を超えました。一昨年は、新たに洗礼を受けられた方は20万人おられました。実は、その20万人の信者の皆さんに協力していただき、科学的実験を行いました。ご存じの通り、こたつみかん教における洗礼では、愛媛産みかんによって洗礼を行います。20万人のうち半数の10万人については通常通り愛媛産みかんによって真の洗礼を受けていただいたのですが、残りの10万人については和歌山産みかんによる偽の洗礼を受けていただきました。すべての方には洗礼前に現在の生活や心に関する質問に答えていただき、さらに洗礼後1年たった時点で同じ質問に答えていただきました。質問の例としては、例えば、「あなたは今幸せだと思いますか」というようなもので、「1.そう思う 2.少しそう思う 3.どちらとも思わない 4.あまり思わない 5.思わない」という5段階評価で答えていただくというものです。この質問の回答を科学的に分析することによって「真の洗礼を受けた人は洗礼を受ける前よりも幸せになる」ということを科学的に証明いたしましたのでご報告いたします。

まず、今回のような定性的な評価による質問の回答を分析するにあたって考慮しなくてはならないのが、絶対評価相対評価についてであります。ある人は1や5ばかりで答えていて別の人は2や4ばかりで答えているというような場合を考えていただきたいのですが、それらを絶対的な評価としてとらえて、例えば平均を取ったりしますと、極端に答えている人のほうの影響が大きくなってしまうということが起こります。そこで、このような回答形式の場合には、各人がそれぞれを相対的にどのように思っているかという相対的な評価であるというとらえかたで分析を行ったほうがより実態に近い情報が得られることが科学的に判明しております。ここでは詳しくは述べませんが、質問の回答を相対評価ととらえ、各人の答えの偏りにかかわらず全体として各人の影響が等しくなるような処理が行われたということです。

そのような処理を行った後、真の洗礼を受けたグループと偽の洗礼を受けたグループそれぞれにおいて、各人の洗礼前から洗礼後の幸福度の増分の平均ならびに分散を計算しました。両グループともに洗礼前よりも洗礼後の方が幸福度が高くなったのですが、偽の洗礼を受けたグループの幸福度の上昇は思い込みによるもの、もしくはプラシーボ効果のようなものであり、真の洗礼をうけた場合にはそれ以上の幸福度の上昇が認められることが統計的に判定できれば、真の洗礼を受けた人が洗礼を受けたことによって幸福度が上昇したということを証明できたことになります。

今回は、統計による検定を2種類行いました。まず、人の幸福度は正規分布に従うものと仮定して、t検定によって両グループの幸福度の増分の母平均値に差があることを有意水準1%で検定を行いますと、2群の母平均値に差はないとする帰無仮説は棄却されました。もうひとつ、人の幸福度は正規分布に従わないと仮定して、20万人の幸福度の増分の順位付けを行い、マン・ホィットニーのU検定を行ったところ、有意水準1%の検定においてやはり帰無仮説は棄却されました。つまり、両検定において真の洗礼を受けた人のほうがより幸福度が上昇する事が言えたのであります。

このように、真の洗礼を受ければ幸せになることが科学的に証明されたのです。ちなみに、実験のために偽の洗礼を受けられた方には全員新たに真の洗礼を受けていただきました。皆さん科学的検証に貢献できたということに対して大変喜んでいただいたとのことであります。

というわけで、洗礼を受ければ幸せになれるという科学的根拠に基づき、まだ洗礼を受けられていない方は早々に洗礼を受けられ、こたつみかん教の信者になることをお勧めいたしまして、本日の礼会を終了させていただきます。来月は、現世で信心を重ねればこたつみかん浄土にいけることについて科学的なお話をしたいと思います。本日はありがとうございました。