昔の記憶

どうやら、とんでもない世界にいるようだ。遙か悠久の過去より引き継がれた記憶によって、行動が左右されているような世界である。自己だと感じているものまで不安定になる気がする。我々には先天的なものが備わっており、それに従って生きている。いや、むしろそいつに生かされているのかもしれないのだ。

赤を見ると血を思い出すのか。黄色を見ると危険な生物を思い出すのか。青や緑を見ると森を思い出すのか。長調は何を思い出して明るく感じるのか。短調は何を思いだして暗く感じるのか。かさぶたを見ると何を思いだしてはがしたくなるのか。蚊にかまれたところを見ると何を思いだして爪でバツ印をつけたくなるのか。シールの端がめくれていたら何を思いだしてはがしたくなるのか。扇風機を見ると何を思いだして指をつっこみたくなるのか。ゴミとゴミ箱があると何を思いだして投げ入れたくなるのか。それに失敗すると何を思いだしてゴミを拾ってもう一度挑戦するのか。失敗し続けると何を思いだして「ダンクシュート」とか言いながらゴミをゴミ箱にたたき入れるのか。それでも何を思いだして失敗するのか。

あぁ。